合鍵 ~あたしの不愉快な夏休み~
そう思うと、気むずかしくとりすました顔も、かわいく思えてきた。


塔也を見ながら、あたしはなぜかこんなことを口に出してた。


「ねぇ、ここで宿題やっていい?」


リビングテーブルを指さす。


「……?」

「あたしいつも床に座って勉強とかする方だから……おとついここでやって、やりやすかった」

「……」


塔也はリビングテーブルとあたしを交互に見比べていたけど、やがて興味なさげに言った。


「好きにしな」





宿題は順調に進んでた。


慣れてくると、宿題写すのも意外と楽しかったりして。

答え写してるだけでも、一応問題も目を通すから、地味に知識が頭に入ってくる。

もしかしたらあたし、次の実力テスト、ちょっぴり点数上がるかもしんない。
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