さようなら。
『俺には好きな人がいる

真央のことはもう想ってない

真央は過去の女だ

それだけだよ』

やっぱり佐倉さんのことは

言えないけど

てか言わない。

『隠すなよ

お前俺にばれてないとでも

思っちゃってるわけ?

態度に出すぎですから

俺のためのフリして

優花ちゃんのこと見てる

優花ちゃんの話してるとき

真央と付き合ってたときの

顔してた

……まぁさ、俺ら親友だし?

手加減とかそういうのなしで

正々堂々勝負すっか』

浜谷は嫌な顔ひとつせずに

怒ることも乱れることもなく

いつもの顔でそう言った。

俺らの勝負はこのときから

始まっていたんだ。

失うものもなにもなく

手に入れたかけがえのないものは

俺の最高の親友と

ずっと夢をみてきた

佐倉優花という彼女の存在。
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