闇夜の数だけエゴはある
他人の『エゴ』を俺の『エゴ』で叩き潰す。

それもまた俺の『エゴ』だ。

俺の『エゴ』を貫き通す為には、他人の『エゴ』、その全てを否定する。

その結果、他者の誇り、尊厳、命さえ奪う結果になるとしても。

犠牲を厭わない。

それが『エゴ』を貫き通すという事だ。

「くそっ!貴様っ、貴様あぁぁあぁぁああぁ!!」

頭を掴んでいる俺の腕に、鋭い爪を食い込ませる野須平。

背後から掴んでいるのだ。

得意の『旋』は背後には打てない。

…野須平のご高説の間に、俺の肉体の損傷は再生していた。

堕蓮の心臓。

その強力なポンプの送り出す血流によって、肉体の生命力は際限なく増幅される。

並みの亜吸血種以上に、俺の肉体の再生速度は早かった。

どこぞの魔女の『再生』の魔術並みに。

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