椅子取りゲーム
「もういい。今日は休もう。」
晴樹君が長い沈黙の後に口を開いた。もう、あたりは真っ暗だ。
「そうだね。明日、ゆっくり話し合おう。」
詩音も同意し、私もうなづくことで賛成を主張した。
私達はビジネスホテルの二階に泊まった。
一人一部屋ずつ。

この暖かい布団と淡い照明が少し今の状態を忘れさせてくれた。
けど、窓から街を見下ろすと、黒い暗闇が自覚させてくれる。この世界にイキモノが存在しないということを。

私達は疑いはじめている。
隠そうとしている。
殺意を抱かないようにしている
けど、殺される前に殺さなきゃいけない。
私達の友人関係は、多分、かりそめになってるんだと思う。
壊れてしまった。
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