CURODO

真矢の事情

「さっきは話が途切れたけど、結局お前は何?何で追われてたんだ?」
「そういえば話せてなかったわね。」
 そういって真矢はキョロキョロと周りを見回し、誰もいないのを確認した。
「あのね、あたしのパパは表向きでは宝石会社の社長だけど、本職はマフィアなの。」
「マフィアって人殺しの?」
「今は人殺しなんてしないわよ。あれは下級マフィアの馬鹿が力を見せつけるためにするもんよ。パパはマフィアのボスで、そんな馬鹿な連中から街の人たちを守っているの。」
 どっかのマンガでありそうな話だ。
「分かった?」
「分からなくもない訳ではない。」
「分からなかったのね。」
 ふぅとため息をつく。俺を哀れね~とでも言うように見るその目がムカつくぞ。
「まぁ現実的じゃないから仕方ないわ。」
「お前は本当に小学生か?」
「見てのとおりよ。」
 ふふん、と鼻を鳴らす。生意気な小娘め。
「でもまぁ」
 真矢が壁に背中を預けて空を見上げた。
「普通はこんな生活、小学生は送ってないわよね・・・。」
 横顔にちらりと目をやると、少し悲しそうな顔をしていた。こいつ・・・。
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