CURODO

追っ手

「あのさ・・・んっ。」
 言いかけたところで真矢に口を塞がれた。耳を澄ますと、カチャッという鈍い金属音が聞こえた。
「あそこに追っ手が隠れているわ。」
真矢が息を潜めて小さく上を指差した。
「上・・・?」
見上げると、誰かがさっと隠れたような気がした。
「逃げましょ。ここは危険だわ。」
 そっと音を立てないように歩く。
「あの角まで走るわよ、いい?」
「あぁ。」
「せーのっ」
 カーンカラカラ・・・。真矢の掛け声と一緒に思わず空き缶を蹴っ飛ばしてしまった。
タタンッタタタタタタンッ。足元に銃弾が撃ち込まれる。ヤバい、気付かれた!!
「もう何してんのよ馬鹿ぁ!」
「すまん!」
俺達は一目散に逃げ出した。
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