CURODO

呆気ない展開

 そう叫ぶと、真矢は走って「パパ」と呼ばれた男に抱きついた。
「可愛い娘や。何かされんかったか?怪我はないか?」
「平気よ、パパ!」
「くっ・・・ボス・・・。」
 如月が真矢の親父さんを睨んでいた。汗が半端ない量だ。大丈夫だろうか。ちょっと心配になる。
「実は、お前の行動は数か月前から知っていた。」
「何!?」
「お前の手下から俺のところにリーク(告げ口)があってな。お前の信用もそんなもんか。」
 はぁ、とため息をつく親父さんの顔には悲しみの色が込められていた。
「本当は、真矢にマフィアのボスなんて仕事を継がせる気などなかったんだよ。お前はボス候補に入っていたんだが、これでチャラだな。」
「そんな・・・!」 
「お前にはふさわしい場所で0からやり直してもらおうかな。はっはっは。」
 ガクッと頭を下げて落ち込む如月を、後からぞろぞろと入ってきた親父さんの部下達が肩を持って連れて行った。
「命があるだけでもいいと思えよ。全く・・・。帰るぞ、真矢。」
 真矢が親父さんを見た後俺をちらりと見て、何か言いたそうにしていたが、すぐに行ってしまった。


 ふと見ると、駐車場の窓が割れていた。多分、あれ、俺が撃ったやつだよな。ていうか、


「・・・俺のこと忘れてない?」

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