CURODO

幼女の正体

 彼女を家に連れて帰ってしまった俺は本気でどうかしてる。
 だってそれしか方法がなかったんだからしょうがないだろう?殺人なんて死んでもやだね。なんて、小学生を誘拐した俺が言えるセリフではないが。

「汚いボロアパートね。築何百年?」
「失礼な。神聖な俺の住まいだぞ。大家さんに謝りなさい。」
「やーよ。」
「ったく・・・。」
 はぁ、本当に困ったもんだ。今が人生で一番困ってると思う。なにせ誘拐しちまったんだもんなぁ。ふぅ、本当に困ったもんだ。
 俺が心の中で絶望していると、彼女が声をかけてきた。
「それにしてもあなた、度胸あるわねぇ。」
「・・・強盗の事か?」
「違うわよ。あたしを誘拐した事!このあたしを誰だと思ってんの!?」
「誰って言われても・・・。」
 すると彼女はスクッと立ちあがり、腰に手を当ててこう言った。
「大道寺真矢よ!!」
「大道寺・・・?大道寺っつったら・・・さっき強盗した宝石店の社長!?『世界の大道寺』として有名なあの・・・。」

ということは。

「もしかして・・・社長令嬢ぉぉぉー!!?」
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