-月の果てreplay story-


「…あ、あいつが…?」

キルトは、驚きを隠さずに露骨に嫌そうな顔をした。



俺は、ソフィを探していると言っているのに

どうして、アイツのところなんだ。



「トラキア…、お前。何を知っている?」


デカルトは、静かに重い声で訊ねた。



その質問の重苦しい空気が流れた後。

トラキアは、数秒黙ってから


「まぁな…、」

とだけ答えた。


「さぁ、アイツは酒場にいるはずだ」

トラキアは、調子を変えて言う。



「トラキア…、お前――…」

キルトは思わず口に出しそうになる。



どこまで、知っているんだ――…?



「行こうぜ」


そんなキルトの思いを知ってなのか、知らずなのか。

トラキアは、いつもの明るい声でそう言った。
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