たとえばそんな静寂の中で

較差

「ああ~!!!」

自分の部屋に入るなり声が出た。

ベッドの上に寝転がって思いっきり手足を伸ばす。

もう慣れっこになってる。家の中の自分の位置。

おねえちゃんとあたしは違う。

身長が違う、スタイルが違う、顔立ちが違う、成績が違う、声が違う。


瞳の色が違う。


おねえちゃんの瞳の色。


闇夜のように深い黒と太陽のかけらを溶かしたような琥珀色。

表現できないほど優雅な色彩を生まれながらにして持っているのだ。

宝石のアンバーともトパーズともつかない微妙で美しい色合い。

おねえちゃんの瞳は均整の取れたパーツの中で強烈な存在感を放って、見るものを圧倒していた。

それはただの感覚器官ではなくて、神様が愛でるために造形した一種の芸術作品のように見えた。


あたしはおねえちゃんの瞳に憧れた。そしておろかなことにずっと待ったのだ。


姉妹であるから、大きくなればおねえちゃんのように宝石のような瞳が手に入るのだと。
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