2つの世界
「ムリに決まってるじゃないですか。」
「そんなこと…言える立場じゃないよね〜?」
「だったら、お願いじゃないじゃないですか。」
「せいかーい♪」

この人…アホだ。

「で?どーするの?こういうことだよ。力で手に入れるって。」
「…。」

知ってたんだ。俺が麻莉から聞いてることも、どんな答えを出すかも…。

「で!どーするのって。まぁ、あたしを断るって言ったらどーなるかわかってると思うけど♪」

どんな答えを出すかも…。わかってたんだ。

「わかりました。でも、夏目さんと付き合ってどーすんですか?」
「あとでわかるわよ。とりあえず、ちゃんと桜ちゃんと別れなさいよー?」
「わかってます。」
「言わないようにねー?」
「わかってます。」

なんで…俺が振んなきゃなんねーんだよ…。

俺は…麻莉が好きなのに。やっと、付き合えたのに。俺から振るのか…。

理由も言わないで。

なんで?って問いに、冷めたって答えて…。

夏目さんと付き合ってるってなって…。

でも、これが選んだ道だ。あいつを守るために…選んだ道だ。
< 56 / 90 >

この作品をシェア

pagetop