『サヨナラユウビン』
キーンコーンカーンコーン…

授業が始まって、席につく。
香織は、俺の席から横に二つ行った席につく。
この距離がもどかしい。

一人…というか、誰とも話していないと、嫌でもアレを思い出してしまう。

――6日…

いやいやいや!まさか俺が死ぬなんて。
いや、人間いずれ死ぬけどさ。
でもまだ…生きていたい。
昔の俺だったら、きっとものすごく喜んで、一週間を満喫するだろう。
早く一週間経て、なんて思いながら。
…いや、そもそも信じていないかもしれないけど。

「…」

だめだ…いや…だめだ…が堂々巡り。

急に、一人が怖くなった。

HRが終わって、俺は急いで香織の元へ向かった。

「香織っ」
「あ、悠也、どうかした?」
「いや…別に…話したいと思って」
「今日はおかしいね、悠也ってば。悩みごとでもあるの?」

くすくすって、悪戯っぽく笑う。
俺は、苦笑を浮かべるのが精一杯だった。

「あるんでしょ?
悩みごと…さ。」
「な…ないよ?」
「ほら、悠也は嘘つくとすぐポケットに手入れる。」

う…。
負けた…。
そして俺は、香織に今までのことすべてを打ち明けた。
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