『サヨナラユウビン』

†揺れる

家の前に黒ずくめの男が立っていたこと。
そいつから黒い手紙をもらったこと。

それに、俺の余命が記されていた事。

放課後、香織をうちに招いてこれまでのことを全部話した。
手紙も見せて。

「…それで全部?」
「ああ…」

うなずくと、香織はうつむいて肩を振るわせた。
な…なん、だ?

「あっははは!!
馬鹿じゃないの?
悠也、そういうの信じる人なんだー?」
「なっ…だって、テレビに映ったんだぞ!?」
「そういうのは、きっと電波とかいじればできるんだよ。私、詳しくないからよくわかんないけど…
アドレスは変えた方がいいかもしれないね。」
「…」

俺は、盛大に溜め息をついた。
そうかぁ…そうだよなぁ。
話したら、肩の荷がおりて。

「よかったぁ…だよなぁ。俺、なに考えてんだろ」
「あれ、悠也泣いてる?」
「へ?」

頬に触れたら、確かに濡れてる。
うわ…情けねー…
目をゴシゴシこすると、香織がハンカチを差し出した。

「あ、ありがと」
「いえいえ。
そんなに思い詰めてたなら、早く話してくれればよかったのに。」
「いや…香織に会ったら忘れられると思って…」
「ふふ、嬉しい…」

ぴとって肩を寄せてくる香織。
可愛くて、愛しくて…俺はその肩を優しく抱きしめた。

開放された気持ちになった。
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