マジックストーン
ピアノは好きだし、伴奏とかの経験もある……けど。
「ただ、ね?楽しんで弾けないだけなの。そんなに、難しい伴奏でもないけどね」
「はぁ、楽しんで弾けないなら止めた方がいいんじゃないの?」
「え、でも……」
「あたし、優衣が楽しそうにピアノを弾いてない音楽なんて、大嫌いっ」
えっ、わ、私の所為で音楽嫌いになられてもっ……。
私だって、楽しく弾けないピアノなんて嫌だけど、頼まれたし、ね?
「ホント、優衣って天然で優柔、しかもお人好しなんて。なんかムカつく」
「えっ、わっ!り、梨海ちゃっ?!」
「ウソよ、ウソ。っていうか、断りに行くわよっ」
「ええっ?!」
キラキラっとした企みを含んだ笑みを私に向け「さ、授業、授業っ」と、席に戻る梨海。
わわわ。
ど、どうしようっ。
梨海ちゃん、絶対に断りに行くよね?!
あんな表情(かお)してたもん、絶対、私には止められないよっ。
それに、何て言って断る気でいるんだろ……考えただけども恐ろしい。
梨海ちゃんがどんな方法を使うのかを想像するだけで身震いしちゃう。