マジックストーン

「手ぇ出したら分かってるよなあ……マスヨネ?」

 がらりと声音を変えたタカジくんはまるで岩佐先輩みたいだった。

 行儀良くお辞儀をしたタカジくんは踵を返しこちらに向かってくる。

「やり慣れないことしたら疲れちゃった」

 ニッと笑いピースサインをつくるタカジくんは私のぐしゃぐしゃとかき回す。

「今日はいいけど、明日気を付けなきゃダメだよ」

 分かった?と小さな子どもに言い聞かせるようにタカジくんは優しくはにかんだ。

 タカジくんのおかげ(なのかな?)でちらちらとは見られるものの無事文化祭一日目が終わった。

 そして、文化祭二日目。一般公開日には例年大勢の高校生がぞろぞろ、きゃっきゃっと廊下を埋める。

 今年も例年通りの賑わいにみんな気合いが入ってるみたい。

 なんせ、一般公開日での売り上げが校内一になったら学校から『焼き肉タダ券』がもらえるから。

「今日は一段と可愛く萌キュンで頑張りましょう!」

 文化祭実行委員のチヒロちゃんの掛け声につれ『おーっ』と拳を高く上げる。

 そして、各々クラスの看板を持って廊下に出ていったり、鏡を覗き込んでお化粧を直したり。慌ただしい中、一般公開日第一号のお客さんが入ってきた。

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