マジックストーン

「……あー。そうか。 やっぱり、手が早いところとかかー」

「手が早い?」

「ほら、よく言うじゃないですか。ほいほい女の子と寝ちゃ――」

「おしゃべりがすぎるよー。ミユキちゃん」

 はあっと、ため息と共に現われたのは、甘い微笑みを浮かべた神崎先輩。

「別にー? 神崎先輩と椎葉先輩がくっつかなかったらいいなー、なんて思ってませんから。 ぜぇったい!あんたより良い男、オトしてみせるんだから」

 にっと笑った時に見えた八重歯が可愛らしいミユキちゃんは、スカートを翻し、重い扉を引っ張っり降りていった。

 さっきの子。なんだか梨海ちゃんと舞希ちゃんを足して2で割ったみたいな子だったな。

「ゆーいちゃん。会いに来てくれたの?」

 どきりとするような甘い声に振り返れば、声よりも甘く、プラス優しさを混ぜたような笑顔が待っていた。

「ん?ちょっと待ってよ! 屋上って……ええ?! 屋上=啓輔だからもしかして優衣ちゃん……違うよね?俺と啓輔が仲良いから一緒にいると思ったんだよね?」

「……あ」

 どきどきする。

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