マジックストーン

 しばらく無言が続いて、大分眠たくなってきたころ。

「……神崎先輩遅いですね」

「ああ」

「ふあ。んー……」

 眠気に勝てなかった私は、体育座りをした膝におでこを付けた。

 神崎先輩が来るまで、ちょっとだけならいいよね――と思った途端。

「――てーっ!!!!」

 っえ?! な、何事っ?!

「もうっ!!!!」

 だだだだっと走る音に続いて、黒髪でボブカットの女の子が走ってきた。

 屋上の扉を握って引っ張り、出ていく寸前で、ギッときつく私を睨み付ける女の子。

「ひっ!!」

 わ、私何かしたでしょうかっ?!私が忘れてるだけで、もしかしたら廊下とかでぶつかったりしましたっけ?! あとはー、あとはー……。 ええいっ! ここは謝ろう!

「ご、ごめんなさ――」

「アタシだって、椎葉先輩みたいに可愛く生まれたかったのにっ」

 ……へ?

「椎葉先輩が可愛いすぎるから、イケないんだっ」

 ええ?!

「どーして、付き合わないんですかっ! そんなに、神崎先輩の性格が悪っ……いや、まてよ……」

 (たぶん)後輩の(結構)可愛い女の子はぺらぺらとしゃべる、しゃべる、しゃべる!

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