マジックストーン
私が教室から出た後、教室から『ウソだーっ』だなんて、笑い飛ばす声が聞こえる。
信じてもらってないっ?!
「……ゆーい」
「えっ?あ、梨海ちゃん……」
「ずいぶんと大変そうね」
「見てたなら助けてよぉ」
「ごめん、ごめん」
にこにこする梨海ちゃんに、一通り出来事を話せば、楽しげに微笑み「良かったじゃん」と、一言。
「何も良くないっ!」
「だって、よく考えなさいよ。神崎先輩は、頭良し、顔良し、運動神経良しの三拍子揃った男っ!結構良いと思わないわけ?」
「……思わないっ。神崎先輩、女たらしなんでしょ?私じゃなくても相手ならいくらでもいるんじゃ……」
「そこなのよ。神崎先輩ってセフレは結構いるみたいなんだけど、昨日みたいに廊下とかで抱きしめたりしないらしいの。
本当に、体の関係しか持たないんだって」
……どういうことだろ。
体の関係だけって、何?
「梨海ちゃん……その」
「セフレは、セックスフレンドの略。つまり、付き合ってないんだけどエッチはする、みたいな。分かる?」
「……うん」
だったら。
その“セフレ”っていう人の中からひとり選べば良いのに。
選び放題なんじゃないのかな?