マジックストーン

「いいんです……。神崎先輩は、私のこと……遊んでただけだって分かってます。だけどっ! ……好きだって……っ……気付いちゃったんです……っ。 ごめんなさっ……わた、し……神崎先輩が……」

「優衣ちゃんが、俺のこと、好き……?」

 目を真っ赤にしながらこくこくと頷く私。それを何回か繰り返した。

「……優衣ちゃんが……優衣ちゃんが……俺のこと好きぃいいい?! えっ?! それっていつから?」

「昨日からです」

「昨日?! えっ……言いたくないけど、考えたくないけど、勘違いとか気のせいとか……思い違いとかじゃないの?」

「ち、違います! ……正確に言うと、神崎先輩のことを好きって気付いたのが昨日なんです……いつ好きになったなんて聞かれたら困ります……それにっ」

 神崎先輩を見上げたまま、固まってしまった。

「優衣ちゃん……?」

 忘れそうになってた。私、神崎先輩に遊ばれてたんだよね。好きって言っても、好きって返ってこない。

 ぶわっと視界が歪んだ。

 握っていたワイシャツを静かに離して、涙を手の甲で拭う。

「好きです。神崎先輩が」

 精一杯笑った私は再び神崎先輩を見上げた。

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