マジックストーン

 私を抱きしめていた神崎先輩も5限目の予鈴が鳴り「今日も一緒に帰ろうね」と一言残して自分の教室に帰っていった。

「相変わらずのラブラブっぷりだよね」

 ふっと顔を上げると、にっと笑った舞希ちゃんが「次は古典だよ」と教えてくれた。

「だって、神崎先輩がずっとくっついてるんだもん……」

「ま、くっつき過ぎもあれだけどね。 あ、優衣トイレは?」

「ううん。行かない」

 そっか、と自分の席に戻る舞希ちゃん。うーん……最近舞希ちゃんに限らず梨海ちゃんも“トイレ、トイレ”って……。一人で行けないくらいなんだから、トイレにおばけでも出たのかな?

 そんなことを考えてるうちに、本鈴が鳴り、授業に1分しか遅れてこないで有名な古典の先生の授業が始まった。

 古典の授業はまるで呪文みたい。うとうとしちゃうのは私だけじゃない、と思う。

 ほら!タカジくんも舞希ちゃんだって寝てるっ!梨海ちゃんは……お、起きてるっ。

 なんだか嬉しくなった私は黒板の文字をノートに写してから、また寝たの。

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