マジックストーン
私と梨海ちゃんで寝ている舞希ちゃんを起こさないように着替えさせて帰ることになった。
梨海ちゃんは耕太さん(高校1年から付き合ってる年上の彼氏さん)が迎えに来てくれるみたい。
「優衣。帰ろうっか」
梨海ちゃんが乗り込んだ黒い車を見送っていた時、そっと神崎先輩が私の腰を支えた。
あ、私……。
「っと」
すとん、と腰が抜けた私をさも当たり前のように、優しく、そしていつもの甘く柔らかい笑みを浮かべて抱き上げた。
「さあ、帰ろっか」
「え?! そんなっ……歩けますっ!だから、下ろし――」
「たくないんだ。離れたくない。俺の所為だって分かってる。分かってるんだけど、どうしても離したくない」
悲しそうに眉を下げて私を見つめる神崎先輩に、私はもう一度、下ろして、とは言えなかった。
ぎゅっときつく抱きしめた神崎先輩は額にキス。少し顔を離したと思ったら、ちゅっと口付け。
「っ……」
「俺は優衣が好き。今までもこれからもずっとずっと。 ……だから、優衣もちゃんと俺を見て。俺を好きになって……」
え……?
どうして? どうして私が神崎先輩のこと、すきじゃないみたいな言い方するの……?
「さあ、帰ろうか」
いつの間にかいつもの神崎先輩に戻っていて。ゆっくり下ろしてもらい、手を繋ぎ歩き始めた私は聞きそびれてしまった。