マジックストーン


 鞄を肩に掛け直し、携帯で時間を気にしながら歩いていると、バスが私を追い越した。

 10メートル離れたところでバス停に止まり、私と同じ制服の女生徒が下りて、こちらを見て。

「ゆーいーっ!!」

 ぴょんぴょんと跳ねながら手を振る女の子――七瀬梨海(ななせりみ)ちゃんは、私の幼なじみ。

 梨海ちゃんは、明るい茶色に染めた髪の毛を、くるくるに巻いて左斜め上に結い上げ可愛らしいお花の飾りをつけている。

「梨海ちゃんっ。おはようっ」

「おはよ、優衣っ!バス、ピッタリだったでしょ?」

「うん!梨海ちゃん、すごいねっ」

 私と違って梨海ちゃんは、大きくてぱっちりした目にすっと通った鼻筋の美人さん。

 お化粧もしてるみたいだけど、眉を寄せちゃうような濃いお化粧じゃなくて、ナチュラルな感じ。

 そんな元気の良い梨海ちゃんと楽しい会話をしていれば、あっという間に学校に到着。

 私の家から学校までは結構近いんだけど、梨海ちゃんのお家から学校まではバスで30分くらい。

 なかなか一緒に学校へは行けないけど、さっきみたいな時もあるの。


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