改札口の彼に。
滑り込むようにホームに入ってきた終電が
生温い風を連れてくる。

いつもなら少しウザったい信の声が、頭にこだましていた。

(疲れてるなぁ私。。。あー今日は寝よう!絶対寝よう)

そう思いながら、電車に乗り込む。

(ふぅ〜あぁめづらしぃ空いてる〜!)
女の子がやっと入れそうな席の隙間を見つけて、腰を沈める。

古い座席のスプリングは、反撥を忘れている。
腰を沈めたら最後、地球の裏側まで突き抜けてしまうんじゃないかと思うほど、深く、深く体が落ちて行くのを感じた。

同時に意識もだんだんと遠のく。

遠くに響く車掌さんのアナウンス。

『この電車は―通勤特急、佐倉行きの終電―――――』

(終電は。。そっか、

佐倉行きかぁ――――――)
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