君色
その日を境に、お昼休みの屋上から樹里と山本の姿が消えた。


喋りっぱなしの樹里とそれに突っ込む山本のトークが無いだけで、この空間は驚く程静けさを増して感じる。


「あの二人がいないと寂しいな」

「そうだな…」


中野は、俺の心の内を知ってか知らずか…樹里と何があったのか聞いて来ない。



俺って、こいつが遠慮するくらい辛そうな顔してんのかなぁ?

もう、自分で自分がわからない。

ひどい虚無感に刈られて、感情さえどこかに置き忘れてきたみたいだ。




そんな俺の感情に比例するように

時間はただただ静かに流れていった…。


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