Memories - 年の差恋愛 -
「彼氏ですかぁ?今は居ないですう」

うそをついても仕方がないので、唐揚げを摘みながら正直に答えた。

そんな言葉に反応したのか、向かい側に座っていた唯一の独身、飛田康文さんがビールジョッキを片手に、私の隣まで移動してきた。

「彼氏居ないってほんと?」

少し酔っぱらっているのか、ほんのり目元が赤くて。

162センチの私より10センチくらい高い飛田さん。

男性としては、そんなに高い方ではないのかもしれないけど、がっちりとしたからだの持ち主。

実は、入社してから少し気になっている相手。

年齢を聞いた時、14も年上と知ってびっくりした。

だって、絶対にそんなに年上に見えない。

最初の印象では28歳くらいだと思ったくらい若くて。

「そうなんですよぉ。去年のクリスマスから居ないんですぅ」

お酒は飲んでいないけど、周りの雰囲気に流されたのか、気分だけほろ酔いな感じで。

あんなに緊張していたのに、場に慣れたのかすらすらと言葉が出てくる。

「俺も彼女居ないんだよね」

「えー、そうなんですかぁ?」

彼だからとかじゃなくて、いろんな人とかわるがわる話していたので少し疲れていて。

適当に・・・って言ったら失礼だけど、正直言うとそれなりに相手をしていた。
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