僕の女王様
「やっぱり、千里様はすごいね」


「祐也は歩いて帰るからいいわ」


運転手にそう告げるとドアを閉めるように促す。


一旦閉められたドアを自ら開けると車に滑り込む。


一瞬にして部屋の雰囲気を変えてしまった千里に感心したのは事実。


自分の人気を知っての言動に手放しで感心できない。


「おじ様どうだった?」


「………まぁまぁかな」


恐る恐る聞く千里に控えめに答える。


父親の容体は思っていたよりも悪くなっている。


自己の責任を感じている千里に、本当のことは言えなかった。


母もあいかわらずだし、千里は行かない方がいいと思う。


「あんまり悩むとハゲるぞ」


千里の髪をくしゃくしゃにして屋敷に入る。
< 84 / 84 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

政略結婚

総文字数/6,913

恋愛(その他)28ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
今日、私は神前で偽りの誓いを口にする。 世話になっている叔父の会社を助けられるのであれば、私の犠牲などとるに足らない事。 後悔はしてない。 それでも、罪悪感が拭えないのは、別れを告げた時に、向けられた悔しそうな彼の顔が忘れられないから。 偽りだらけのこの儀式で、唯一、変えられない真実ができた。 蓮が私の夫になったこと。
嘘~偽彼女の秘密~

総文字数/4,988

恋愛(その他)23ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
嘘 一度、ついたら最後まで付き続けるのがルールだと思う。 だまし続ける自信がないなら、つくべきではない。 私にそんな自信があるわけなく、どんな些細な嘘でも友人を傷つけてしまうことを知っている。 たとえ、それが相手のためについたものであったとしても・・・ だから、私は嘘をつかない。 そう、誓ったはずなのに・・・。 私に声をかけたのは、学校一いい男だといわれる早瀬誠。 父親が理事長を務める早瀬コンチェルンの嫡男。 親の地位で学校内の地位が決まるこの学校で頂点と底辺に位置する私たちを結びつけるものはなかったはず。 彼の気まぐれさえなければ・・・。
身代わり~婚約者は高校生~

総文字数/15,414

恋愛(その他)69ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私には5歳離れた姉がいる。 『いた』 と、表現した方がいいのかもしれない。 ただ、一言付け加えると、死別したわけではなく、失踪したのだ。 失踪なんて大げさな言葉で表現するのもおこがましい『家出』と言った方がしっくりくるのかもしれない。 問題はその原因。 父の会社が傾いていることは、経営に全く関わっていない姉や私でも理解できていた。 銀行の追加融資の道もほぼ断たれたに等しい。 そんな、家柄しか取り柄のない家に、その取り柄を求めて見合い話が舞い込んできた。 当然、私ではなく姉にである。 姉も嫌々ながら「見合い=結婚」を了承した。 はずだった・・・。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop