芋女



「ただいま」


玄関のドアを開けると、家の中は案外普通だった。


リビングへ入るとお父さんが寝転んで寝ていて、その横でお母さんもイスに座って楽しくテレビを見ていた。

母はあたしに気づくと、お父さんをゆすって起こした。


「あっ、おかえり。急に呼び出してごめんね。お父さん起きて」


あたしはだるそうに母の向かいに座った。


「なに?話って」


やがて父は伸びをして起き、父は母の横に座った。



「急な話やけど、ちゃんと聞いて。お父さんの転勤が決まったから、引っ越すことになったから」



その瞬間、眠たそうにしていた父もはっとなり、口を開いた。



「お父さんの都合で悪いけど…もう中2になるし、わかってくれるよな?」




一瞬、あたしはわけがわからなくなった。



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