至適彼氏
ゾクッとした。
目の前には、葛城君の…怒った顔。


初めて見た。
冷酷な目であたしを見る。心の底から怒ってる感じ…。
感情にまかせて、怒鳴られたほうがよっぽどいい。


だけど、一瞬。
ほんの一瞬だけど、別の顔が見えた。

とても悲しそうな顔。
まるで、母親に置いてかれた子どもみたいに…。




「勝手にしろ。」

そう言うのと同時に、鍵束をあたしに投げてきた。


「かっ、勝手にするもん!!」


何よ、その言い方。
すっごく怖かったんだもん。
泣きたいのは、あたしのほうなんだから。


興奮と恐怖が入り混じる。
震える手で鍵を開け、勢いよく体育倉庫の扉も開ける。


目にたくさんの光が否応なしに、差し込んでくる。
眩しい…。

目を細めながら、歩き出すとクラスメイトの男の子達とぶつかってしまった。


このあと彼らとの間に起こった出来事を、あたしはもっと後になってから知ることになる…。






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