至適彼氏
唇に触れるか分かんないくらいの、ふわっとした優しいキス。

今まで見たことない、まるで幸せそうな葛城君の優しい顔。
目の前にいるこの人は、さっきまであたしに無理矢理キスしてた人と同じ人?


「本当に、葛城君…?」

「今まで誰だと思ってたんだよ。やっぱりオマエってバカだな。」

「だって…ワケ分かんないよ。苦しかったのに、今度はふわって…。」


文章になってない。
またバカだって言われるよ。


耳元に、葛城君の唇が近づいた。


「仁菜、続きはまた明日な。」


ゾクゾクした。
寒気なんかじゃない、今まで感じたことのない刺激。
頭の中がボーっとしてる。


教室から出て行く葛城君を追いかけることなんて出来なくて。

あたしはその場に座り込んでしまった。


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