20歳の私へ【短編】
「何?どうしたの?」

と戸惑っている皆。

その騒めきをふさぎ

駿が再び口を開いた。

「一樹はっ…一樹は……来ない…」


なぜ?なんで?と

戸惑いを隠せないクラスメイトを

おだめるように

「静かに聞いてくれ…一樹は………交通事故で……………………亡くなった……」


うっ

と声を漏らし

泣く駿と先生。

でもアタシは

そんなことも

気にできないくらい

頭が真っ白になった。


亡くなった…

なくなった…

ナクナッタ…




死んだの…?




一樹…?




なんで?




お祝いしてくれるって言ったじゃない?




アタシは

どこかで予想していた。

連絡が来ない頃から

ずっと…。

でも知らないふりをしていた。

その事実を隠すように…

その事実を認めぬように…。



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