20歳の私へ【短編】
「先生と……駿だ……」


皆が先生と駿に駆け寄り

笑顔で話していた。

だが。

先生と駿は

何とも言えない

悲しそうな表情で

うんうん、と頷くだけだった。

皆はそれをおかしく思ったのだろう

「なにかあったのか?」

などいろいろ責め寄る。

「てか一樹は!?」

「一樹は……っ遅れるから先やっててって…」

駿が口を開いた。

皆が静まり返る中

アタシは何か

嫌な予感がした。

その場を紛らわすように

「ねぇ、それより掘り起こさない!?」

と皆に勧めた。


皆は

「まぁ…それもそうだな」
「先にやっちゃおぅ!」

と賛成してくれて

掘り起こしはじめた。



……


…………


………………


ガンッ


「あ!あったよ!!あった!なんかあたったし!」


何度もスコップで

ハズレを当てながら

ようやくタイムカプセル

らしきものを掘り出した。

「よし!!開けよう!!」


「ちょっと待ってくれ!!!」


皆がタイムカプセルを開けようとしたとき

駿がそれを阻止した。

その瞬間

アタシは背中に張りつく

汗によって湿ったTシャツを感じた。



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