魔の宴 漆黒の舞台より

 重傷の男を助ける者は誰もいない。

 こんな真夜中では、人々は寝静まっているのだから。




 しかし、あまりにも静かすぎる道路。

 住宅街には有り得ない、立ちこめる濃密な霧。

 そんな現象は、

 まるで、このあたりだけ別世界にでもなっているのではないかと、錯覚させられるほどに……



 …ただ、ただ、

 薄気味悪いのは確かである。


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