お姫様と1.5人の男
一緒に思い出を見た後は、玄一さんがどうしても行きたいと言う場所へ行く事になる。

その場所はバスで30分ほどかかるちょっと遠い場所。

そんな場所に一体何の用があるんだろう?

バスに揺られて流れる窓の景色を眺めていると、突然肩にズシリと何かが乗っかる。

…………それに気付いて何があったかを見た時、あたしはどうするべきか悩んだ。

だって、だって……っ!隣で桜太君が寝ちゃっているんだもの。

バスは完全な空席が1つしかなかったし、

別々に座ろうにも一緒に乗って別の席に座るってのもどうなのよ、って感じで。

結果桜太君と合席になった訳で。絶対にカップルだと思われているんだろうな。

絶対に微笑ましく見られているんだろうな。玄一さんが怒り狂ったのは言うまでもなく。

仕方ないか。だって決闘で疲れちゃっているかもしれないからね。

少しは休ませてあげないとね。玄一さんに静かにしてもらうように、

指に人差し指を当てて“しー”の合図。

でも……これはこれで心臓に悪いと思う。気持ち良さそうに寝るなあ……桜太君も。
< 203 / 227 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop