お姫様と1.5人の男

『お、次だのう……』


桜太君や周りの人達に気を取られてしまって景色どころじゃなかった。

そんな時に玄一さんのその言葉が聞こえてきた時には、もうその言葉が救いの言葉に聞こえてならなかった。

大袈裟かもしれないけれど本当にそう思ったんだってば。

気持ち良さそうに寝ている所悪いけれど、起こさないと。

心の中で沢山沢山謝ってから桜太君に声を掛けながら起こす。すぐに桜太君は目を覚ます。

でも表情はぼんやりとしているからきっとまだ完全に起き切ってはいない。

桜太君って……寝起き悪かったんだ?知らなくて当たり前だけど意外。


「うー…………ん……」


気付けば既にバスは玄一さんの言う場所に到着。

仕方ないからやや寝惚けたままの桜太君を無理矢理引っ張り出して降りる。

バス停の椅子に腰掛けさせてから、やりたくなかったけれど頬を思い切り叩く。

これで起きたらまだ良いのに……桜太君、まだ寝惚けているように見えるんだけど!?