准教授 高野先生のこと

帰郷の報告のあと、秋ちゃんは今週来週にでも腹ボテ姿を見にきてと言ってくれた。


「とりあえず、シオリンの声聞いときたくて電話しちゃった。ごめーん」

すごくすごく嬉しかった。


「私もね、色々と秋ちゃんに聞いて欲しいことあって……」


高野先生のこととか?

あと……高野先生のこととか??

それから……高野先生のこととか???みたいな。


秋ちゃんはいつでもOKと言ってくれた。

私の予定がたち次第また改めて連絡をとりあおうと決めて電話を切った。


久しぶりに秋ちゃんに会えると思うと――

心がギューッとあったまって、なんだか元気が沸いてきた。



そのとき――



手に持ったままのケータイがドビュッシーの美しい旋律を奏でた。


“月の光”


ケータイがこのメロディで知らせるのは……高野先生からの着信だけ。




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