准教授 高野先生のこと

私はというと――

不貞腐れて一歩下がって、先生に手をひかれるようにしてちんたらと歩く。


先生は手をしっかり握るというよりも、ほわっと掴むという感じで。

私はそれがなんだか淋しくて、繋いだその手をわざとギュッと強く握ってみた。


すると――

先生がギュッと握り返してきた。


あれっ?と思って、今度はギュッギュッと握ってみると――


やはり同じように続けてギュッギュッと握り返してくる。


あれれ?と思って――

調子に乗って、試しにギュッギュッギュッと握ってみると――


今度は――

指を絡めるように、しっかりと繋ぎなおされた。


楽しくて、嬉しくて、すごくドキドキ。


車に戻るまで、先生も私もあんまり話しはしなかった。

もちろん、私の22歳の心意気についての言及も一切ナシだった。






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