准教授 高野先生のこと

さっき、言いかけたのは――

いつか一緒に年を越して二人で迎えるお正月がくるのかな、って。

きっとそのときには、私たちは家族になっているのかな、って。

だけど今の私には、それはまだちょっと早くて少し先のこと。

だから――

今日は、私を待ってる家族がいる温かい懐かしの我が家へ早く帰ろう。

弾む気持ちで足取り軽く、うきうき家路を急いで歩く。

家に着くと、両親……特にお父さんがモーレツな勢いで出迎えてくれた。

私の犬っぽいところって、実はお父さん似かも?なんてちょっと思った。

「おかえりなさい、しーちゃん」

「うん、ただいまなさい」

そして――

きょとんとした顔で仲良く並ぶ両親の姿を見て一瞬、ほんの一瞬だけど――

私は、私と私の大好きな人の、遠い遠い未来予想図を見た気がしたのだった。





【おしまい】



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