准教授 高野先生のこと

これ以上長居するのは先生の邪魔になるに決まってる。

そんなこと、頭ではわかってた。

嫌われるのも疎まれるも絶対に嫌だし。

なのに……。

だけど……。

やっぱりもう少しあと少しだけ、先生と一緒にいたかった。

「先生、そのお仕事って……」

「え?」

「私がお手伝いすること、できませんか?」

自分でもむりむりで、かなり強引な申し出だってわかってた。

でも、そう言わずにはいられなくて。


やや驚いて、それから何か思案してる様子の高野先生。

そうして、そんな先生と――

「鈴木さん」

ゆっくり静かに目が合った。

「頼まれてくれますか?」

「はいっ」

空っぽになる寸前だった心は、みるみるうちに満タンになった。



< 52 / 462 >

この作品をシェア

pagetop