Cold Phantom [前編]
「食器洗い機でも買おうかなっとかちょっと思ってた所だし、まぁ良いんだけどね。」
「ごめんなさい…。」
「謝らなくて良いよ。それより、何かあった?祥子ちゃんがそんな感じだと心配になるよ。」
そう言ってマスターは私の目の前までやってきてくれた。
「母親代わりってのは無理だけど、こう見えて一児の母なんだから頼りたいだけ頼ってよ。」
マスターは怒っている風では無く、言葉通り心配しているようだった。
マスターはこうして心配してくれる事がよくあった。
私が一人暮らしだからだろうか、結構親身になってくれる。
「うーん、話を聞いてくれるのは嬉しいんですけど、なんて言えばいいのか…。」
「ん?難しい事?」
「私には…」
そう言って私は少しづつ説明していく。
一通り言い終えると、マスターはニヤニヤしながら返事をした。
「その歳で可愛い事を言うのね祥子ちゃん。」
「可愛い…ですか?」
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