Cold Phantom [前編]

「ま…もる?」

俺はそう呟いて目が覚めた。
窓から溢れる日光に照らされた白いカーテンが何よりも先に目がついた。
見慣れない場所、独特な匂い、白が基調の清潔な部屋を見ながら、いつの間に横になっていたのか解らない鉄パイプの頑丈なベッドから立ち上がった。
暫くしてようやくその部屋の正体を理解した。
「保健室?」
俺がこの部屋の事に気づくのに少し時間を要した。
来たことの無い部屋と言うのもあったが、何よりも保健室自体が俺にとって無縁な部屋の代表格だからだ。
しかし、そんなことより気になった事が二つある。
一つは何で保健室にいたんだろうか。
ここに来る前の少しの間の記憶がない。
それともう一つは…
「守る…。」
俺がベッドで目覚める時に言った言葉…
まるで夢の続きで発したかの様な場違いな一言が気になる。
夢ならどんな言葉でも不思議には思えないのに…いやそもそも。
「何の夢を見たんだっけ?」
夢の内容自体も気になった。
記憶に残らない程度の夢ならば大した事でも無さそうだが、忘れ物をしている事に気づいているのに探している途中で何を探していたのか忘れてしまったかの様な歯痒さが残っていた。
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