Cold Phantom [前編]
「クラブ発表会を見ていて…。そっか、そこで確か倒れたんだった。」
とりあえず今の状況を思い返すと、意外にも早く思い出す事が出来た。
とある事以外は…
「目眩して、それから…そのまま倒れた?いや、その途中で何かあったような…。」
その何かが思い出せない。
目眩を起こした後の一瞬の出来事、本当ならそれを覚えている以前に気になっている時点で凄い事なのかも知れない。
目眩の後なんてただ何も考えられずに倒れてしまうだけなのだから…
「うーん、やっぱ思い出そうとするだけ無理ってやつだな。」
深く思い返したが、その時の事を思い出せる訳も無く、とりあえず横になっていたベッドに戻った。
その時だった。
「ん…んん…」
誰かの声がする。比較的近い所で聞こえた。
少し頼り無さそうな女の子の声だった。
「思いつく場所と言えば…」
そう言って、回りをキョロキョロするまでもなく、ベッドの隣にある白いカーテンを見やる。
「ここしかないよな。」
目の前のカーテンの奥、そこにもうひとつのベッドがある。
そこに人が休んでいるとしか考えられなかった。
開けていいものか少し考えたが、少し見るくらいならと俺はカーテンに手をかけた。
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