Cold Phantom [前編]
※※

…開いた。
「あっ…」
始めに聞こえた言葉がそれだった。
「えっ?」
私もそれに釣られて言葉を返す。
脈絡も何もないこの状況を眠った頭が理解しようにも追いついていない。
とりあえず…
「えっとその、お、おはよう。」
思わずついた言葉の間抜けさに、言った矢先に気恥ずかしくなった。
おはようを使う時間帯では間違いなく無かった事にすぐに気付けた筈なのに…。
でも目の前の人物から予想だにしなかった返事が帰ってきた。
「あ…はい。おはようっす。」
と素で返してきた。
私は意外過ぎるその返答に少し呆然してしまったが、そんな事よりも現状が知りたい。
私はとりあえず回りを見渡すと、今いるベッドを囲むように引かれた白いカーテンが目についた。
それを見て場所の特定は出来た。
つまりここは…
「ここって保健室…だよね。何でこんな所に居るんだろ?」
そう言って思考を巡らせるが、間髪入れずに目の前の男の子が口を開いた。
「えっ、先輩もっすか?」
「先輩?、あっ…」
私が思わず言った言葉に男の子は左胸の名札を私に見せ応えた。
赤色の名札…新入生の男の子だ。
「そっか、後輩君だったんだね。どおりで見ない顔だと思った。」
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