Cold Phantom [前編]
※※※※

明かりはついているのにそこは妙に暗い部屋だった。
部屋の壁は病院を思わせる白で統一されているが、煤や埃が溜まり衛生的にとは微塵も感じさせないまるで廃病院の一室の様な部屋に私はいた。
ベッドと机があるだけの質素で生活感の無い部屋に私は閉じ込められて、もう何ヶ月がたっただろうか。
日付を知る物は何もなく、一日が異常な位長く感じた。
でも私はその状況でも気に触れる事がなく居続けられたのは多分…その人が居てくれたからだと思う。
(俺が、アンタを助けるよ。)
その人は私にそう言う…それがどれほど絶望的な事なのか声の主も解っているだろう。
でも、声の主は今まで一度も諦めた事を言った事がない。
私は内心諦めているのにそんな事を何度も言われてしまったら否定的に返事が出来ない。
「うん…」
私にはそう返事するしか出来なかった。
でも…その時は何かが違った。
絶望が包み込む心の何処かに隠していたかの様な頼りなくも確実に見えてきた小さな希望の光、私はそれに手を伸ばし、掴み取りたい気持ちで私は光を追った。
その光のある場所に、横開きのドアがあった。
私は迷わずそのドアを…
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