世界の終りに恋の歌を
なぜなら、ドレスの裾の下から伸びるのが、人間の足ではなく、魚の尻尾の形をしていたからです。

薄桃色の鱗が、光に照らされて、水色や薄紫にキラキラ輝きます。

話に聞いたことがある、人魚の姫だと、すぐに思い至りました。

人魚の姫の長いまつげは閉じられたままで、瞳の色は見えません。

若者は、そっと人魚の姫の身体を抱き起こしました。

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