パセリな彼女がついた嘘
この日も僕は煩悩に打ち勝って、
無事、コンビニのドアの前に立った。

自動ドアが開くと、
僕の視線は既に飲料棚に向けられている。


「いらっしゃいませ、」

と深夜のコンビニに馴染まない高く落ち着いた声がして、
レジのほうを見ると、見慣れない店員がこちらを見ていた。


雪乃はよく、街を歩く女性に目が行く僕を叱ったけれど、
これは男の悲しい性であり、本能には逆らえない。

その女性が自分のタイプかどうかを認識する前に、
眼球はホシを捕らえて、脳が品定めを開始してしまう。

こんなとき、社会人2年目の僕は、
改めて自分の視力の低下を思い知る。

学生時代には見えただろうその店員の顔立ちを、
今はぼんやりとしか見ることができない。
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