パセリな彼女がついた嘘
上書き保存した思い出
くずついた天気が続き、
一雨ごとに寒さは深まっていた。

それは僕の心の様でもあったけれど、
約束の日曜日は、辛うじて晴れていた。


待ち合わせは駅前のロータリーに午後13時。

駅前のクリーニング店に用のあった僕は少し早めに着いていた。

時間を2分ほど過ぎた時、僕の家と同じ方向から、
ケチャップとマヨネーズを混ぜたようなコーラルピンクのニットに、
細いデニム姿の瑠璃子さんが歩いて来て僕をみつけ、
顔を左に傾けると右手を少し挙げて微笑んだ。


手を振られるまで彼女と核心が得られななかった僕は、
いつもの【女性に対する興味】としてその姿を見つけていたのだけれど、
それを彼女であると認識した時、自分の勘を改めて思い知った。
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