ギア・ドール

「知ってるよ。それぐらい・・・。それで、そのキラは今どこにいるの?」


「墓参り。」


 誰の・・・なんて、聴くまでもないだろう・・・。


「あ・・・そう。」


 アルクは、そうとしか返さなかった。


 あの日から、一週間・・・・。


 復旧活動もようやく進み始めた。


 それでも、北西部は廃墟から立ち直ったわけではないし、二度と戻らないモノも多い。


 病院は未だに怪我人で埋まっているし、未だ、残骸の下敷きになっている人たちも少なくない。


 そして・・・・・二度と帰ってこないものたちも・・・・・・。


「キラ・・・どうするんだろうね?」


 アルクの質問。


「さあな?」


 海人はラーメンを食べ終わったどんぶりもそのままに、ポケットから、タバコを取り出し、火をつけて一息つけると、手元においてある紙に目を通す。


 アルクが調べ上げた、人工知能に対する報告書・・・・・・・。


 キラの記憶は結局、戻ることはなかった。


 弁財天を生み出した・・・。化け物を化け物した張本人・・・。


 今ごろ、弁財天の残骸が埋められている墓の前で、涙を流していることだろう・・・。

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