ギア・ドール
 息を飲み、レベッタのトリガーに指をかけて中に入る。


 その瞬間、私の視界を覆うのは、一ヘクタールはあるのではないかという、巨大な格納庫。


 その中にいるのは、30を超える整備士、白衣を着た数人の科学者たち。


 そして、それを眺める数人の上級階級章の軍人。


 そんな彼らの、耳を塞ぎたくなるような大きな喧騒の中で、聳え立つ一体の真っ白いギア・ドール。


 でかい・・・。


 分かっていたとはいえ、やっぱり思う。


 長身、12メートル。重量23トン。


 純白をベースカラーとしており、腰には巨大なマシンガン、左手には巨大な盾が備え付けられている。


 そして、背中に背負っているのは、全長10メートルという、戦艦すらも一太刀でなぎ払う巨大な剣。


 大きさや武装もさることながら、それらを自在に扱える2万5千という出力は、短いギア・ドールの技術の歴史の中でも、最高出力。


 こんなものが量産体制に入ったら、あっという間に今の形勢は逆転してしまうだろう。


 正直・・・そんなことになってもかまわない。


 だが、今は、この機体を連中の好きに扱わせるワケには行かない。


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