虹色パウダー



「だめ。これ私のお弁当だもん」



視線を合わさずに答えた桜子は、チラチラと雪乃ちゃんを見ていた。





「淳平ってからあげ好きだったよね?雪乃のお弁当からあげだよ!」




桜子はあとひとつ残っている雪乃ちゃんのからあげをお箸でツンっと突っついた。




「まじで?じゃあ、も~らいっ!!」


雪乃ちゃん、バレバレだよ。

顔、真っ赤だよ。



淳平が手で雪乃ちゃんのからあげをつまんだ。





「本当にもらっていい?」


雪乃ちゃんの顔を覗き込んだ淳平。


うつむいたまま真っ赤になる雪乃ちゃん。




サッキーは弘道を見上げて、目を大きくしていた。



桜子は……

なんだか複雑な表情で……




「うん。いいよ」



雪乃ちゃんはそう答えて、淳平と目を合わせた。




「ありがと。おー、うんめぇ。雪乃サンキューな」



気付いてあげて。

雪乃ちゃんの気持ち。



淳平が教室から出ていくのを確認した雪乃ちゃんは、顔をハンカチで押さえた。





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