虹色パウダー



「桜子、ごめん。本当にごめんね。桜子、気付いてたんだよね」



雪乃ちゃんはハンカチで顔を押さえたまま言った。



「謝るのは私だよ。ごめんね、雪乃…… 淳平が好きなんだよね」



桜子は、手を伸ばして雪乃ちゃんの頭を撫でた。




「昨日の私も、そんな感じだったなぁ。恥ずかしくて真っ赤になってたと思う」



桜子は、そう言いながら残っていたお弁当を食べ始めた。


お弁当のふたをしたサッキーが、いきなり頭を下げた。



「桜子のことだから、気付いてないわけなかったのに。私もごめんね。雪乃も、何度も言おうと思ったんだけど、桜子が悩むんじゃないかと思って淳平が桜子をあきらめるまで内緒にしておこうって話してたんだ。でも余計に桜子を悩ませてしまったんだね」





残りの昼休み、僕の入ることのできない場所……女子トイレの中で、3人は恋の話で盛り上がったらしい。




少しだけ聞こえた桜子の笑い声が、僕を安心させた。




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